SF的温暖化対策続々!

【宇宙の巨大鏡で温暖化対策!?】(1月30日の記事)で明らかになった海外発の奇抜な地球温暖化対策ですが、続報がありました。

温暖化対策、奇抜な案も真剣に検討~人工火山から巨大日傘まで

 地球温暖化の進行を阻止するため、科学者の間では非現実的と思われるアイデアも真剣に検討されている。
 ロサンゼルス・タイムズによると、ノーベル賞受賞者ポール・クルツェン氏を含めた科学者らは、2001年にフィリピンでピナツボ火山の噴火時に高く舞い上がった硫黄の粒子が日差しを反射したため、約1年間にわたり地上の温度を低下させたことから、大量の硫黄を空中に噴出させて人工的に火山の爆発状態を作るというアイデアを提案している。
 アリゾナ大学のロジャー・エンジェル宇宙科学者は、宇宙に巨大な「日傘」を作るという案を提案。地球と太陽の間に重量1オンス以下のフリスビー型宇宙船を16兆個飛ばし、太陽から受ける熱を減らすしくみだ。
 このほか、人工の森に大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収させるアイデアや、鉄くずを海に廃棄する案もある。鉄の廃棄は、プランクトンを増やし、大気中のCO2を吸収する藻類の繁殖を促すため。すでに民間企業プランクトス(カリフォルニア州フォスターシティ)はこのほど、太平洋に50トンの鉄くずを投入するために船を出港させた。
 アメリカ航空宇宙局(NASA)は、こうした案の一部を報告書にまとめているほか、エンジェル宇宙科学者の日傘の案に7万5000ドルを投じて草案を作成している。
 国内における関連研究で中心的な役割を果たしている米大気研究センター(NCAR)は過去6週間にわたり、火山の案をコンピュータで模擬実験しており、近く宇宙傘のアイデアも検討する予定だ。
 科学者の間では、意図しない副作用が出てくる恐れがある、または真の温暖化対策である温室効果ガスの削減につながらないとして、地球工学案の導入に消極的な見方もあり、基本的に汚染の削減に代わる策ではないと見られている。
2007年03月26日 19:06米国東部時間 U.S. FrontLine


改めて、それぞれの案を検証してみましょう。

1.硫黄空中散布案
筆頭に名前の挙がるノーベル賞受賞者ポール・クルツェン氏とは、フロンがオゾン層を破壊していることを立証した事で有名なオランダの気象学者です。

具体的な方法は・・・、
【地球規模の温暖化現象、スイスの氷河はカバーが必要】ドイツ語の新聞記事を読む楽しむ
(抜粋)オランダのノーベル賞受賞者であるポール・クルツェン氏は人工的に天候に影響を与えることの論議を提出している。風船を使って百万トンの硫黄を成層圏へと運んで行き、そこで燃やすことを提案している。燃焼を通して小粒の硫酸塩分子が発生し、それが太陽光線を反射させるという次第だ。

この方法だと、現在の技術でも簡単に出来そうですし、コスト面でもかなり安くつきそうです。
様子を見ながらじわじわと実行して行く事も可能な方法なので最も実現可能性が高そうです。

しかし、温度を下げるために太陽の光を減らすと言う、本来減らすべきで無いものまで減らしてしまうという方法なので、農業などへの影響が心配されます。
歴史上何度も繰り返された「噴火→大飢饉」という連想をしてしまいます。

しかも、地球温暖化の根本的原因は取り除かない事になり、潜在的な温室効果は増加し続ける事になります。
長い将来に渡ってこの方法のみに頼れば、地球上はどんどん暗黒の世界に近付いて行ってしまう事になってしまいそうです。

結局は根本的解決までの先延ばし策としてしか使えないでしょう。


2.宇宙日傘案
【宇宙の巨大鏡で温暖化対策!?】(1月30日の記事)でも書いたとおりですが、最もアメリカの力強さ(傲慢さ?)の現れた方法です。

発案者のロジャー・エンジェル博士は、少し前にも固定型の宇宙巨大鏡を月面から射出した材料で宇宙空間で組み立てて、太陽光を反射させるという計画を発案していましたが、最近言われている方法では、大幅にコスト削減されて上記のような計画になっています。
ちょっとしたニュースやブログなどでは良く誤解される点なので注意しましょう。(私も前の記事で誤解してましたが・・・)

打ち上げや制御に技術的疑問点が多く、最も突拍子も無く見える方策ですが、費用は1兆ドル(1200兆円)と言われており、イラク・アフガニスタン戦争に費やされた戦費に比べれば安いくらいです。
 参考→【イラク“3兆ドル戦争”がアメリカにもたらしたもの】
 2005年時点での総計は137兆2000億円。

実際実行されたら、費用は日本などの他の主要二酸化炭素排出国が排出権取引量として払う事になるのでしょうか。

そもそもアメリカという国は、景気を浮揚させるためには軍需産業を潤わせる事が特効薬で、そのために定期的に戦争を起こさなければいけない状態だと言います。

この宇宙日傘作戦は、軍需企業にも多分に参加の余地があり、戦争以外に景気浮揚の活路として、ひょっとしたらアメリカ主体の戦争が今後行われなくなるかも?という淡い期待もあります。(もー、日本語ぐだぐだ・・)

結局は、地球温暖化対策費としてアメリカで必要とされる需要をいかに利用するかという観点で考え出された(or採用された)案だと思います。


3.人工の森案
これについては、ちょっと調べても具体的な方法が見えてきません。

街の中や荒れ地に植樹して森にしても立派な「人工の森」と言えると思います。

随分昔に科学雑誌で読んだ方法では、細長く透明なガラス容器の中に工場や発電所などから出る二酸化炭素を含む排気を通し、珪藻類などの光合成する微生物を育てて回収するというものでした。
取り出された珪藻類を再び燃やしたり腐らせたりして二酸化炭素を再び放出しないように、いかに貯蔵するかが問題点だと思います。

人間活動に起因する温室効果ガスの半分以上を占める二酸化炭素には有効ですが、メタンや亜酸化窒素などの他の温室効果ガスには効果が期待できません。

なにより、存在するだけで固定装置と貯蔵装置の双方の役割を果たすという、自然の植物に勝る人工物は開発しようとするだけ費用の無駄です。


4.鉄くず海洋投棄案
なんか、ちょっと聞くと、単なる海洋廃棄物投棄じゃん!なんて思いましたが、どうやらかなり真剣に考えられている案のようです。

【海水中の微量金属と生物生産 宗林 由樹】に詳しく書かれていました。
(引用) 80年代末に発表されたマーチンの鉄仮説
 さらにマーチンらは、南極海に人為的に鉄を散布すれば、植物プランクトンの増殖を促進し、大気中の二酸化炭素の吸収を促進できると考えました。植物プランクトンが南極海表層の硝酸、リン酸などの栄養塩をすべて利用するのに必要とされる鉄の量は約30万トンです。これは大型タンカー1隻で運搬できる量です。散布された鉄が100%の効率で植物プランクトンの増殖に働くとすれば、毎年大気中に蓄積されている人為起源二酸化炭素の半分以上(炭素として1.8 x 109トン)を有機物に変換できると計算されます。
 北西北太平洋において鉄散布実験を行い、植物プランクトン現存量が20倍に増えるという劇的な効果を見出しました。


確かに地球の表面積の7割を占めている海を有効に利用できると考えれば夢のような案です。
広大な海洋のうち生命と栄養に満ちた海は陸地に近い、ごく僅かな面積に過ぎないと言うのです。
植物プランクトンも生育できないような栄養(鉄分)の乏しい海域を生命溢れる海に変えると言う事でしょうか?

しかし、海洋生態系への悪影響なども懸念され、慎重な上にも慎重に実行されるべき方策だと思います。


--------------------------
以上、4点を見てみると、全て“対症療法”に他なりません。
もちろん、以上の方策は“一時しのぎ”として行われる対策であって、同時に“根本治療”も行われるものと期待します。

かの、いかがわしい企業団体「チームマイナス6%」の行っている活動が“対症療法”ですらない市民騙しの数字だけのトリックに頼っていたりするのに比べれば、はるかにマシです。

このブログでも散々述べて来ましたが、「地球温暖化が人類が排出した温室効果ガスによるもの」という主流の説に従えば、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて使用する事を100%止めた上で、産業革命以来、過去百数十年に渡って大気中に放出されて来た温室効果ガスを回収して封印しなければ地球温暖化は止まりません。

しかし、同時にどう考えても10年や20年といった短い期間では不可能な事は明白です。
そして、現実では英議会で2050年までに温室効果ガスを60%削減する法案が審議されるなど、真の理想には遠く及ばない削減目標値です。

ただし忘れてはならないのは、石油や石炭などの化石燃料は遠くない未来に枯渇すると言われている事です。

確かに、化石燃料の使用全廃などを急に行えば、エネルギーや経済でパニック的状況になる事は防げないでしょう。

ならば、パニック的状況にならないように緩やかに新技術に切り替えていくより他無いという事になります。

なんとなく、結局温暖化対策という名のもと、来るべき資源枯渇への対策を行っていこうとしてるようにしか見えなくなってしまいます。

枯渇するまで使ったら排出量がゼロになる訳ですが、万々歳と言うわけには行きません。
大気中に放出された温室効果ガスはより一層温室効果を高めて存在し続けるのです。

そして、その大気中の温室効果ガスを全て回収して封印するにはコスト的にも技術的にもかなり困難と言われています。

結局は、潜在的に温暖化は進行する事になり、先に挙げたようなSF的対策をより効果を高めて実行し続けて行く事になりかねません。

しかし、アイドリングストップやレジ袋削減や電気の節約、クールビズやウォームビズ、リサイクルの徹底、風力発電所の建設などの現在行われているようなポーズだけの対策では何ら削減効果が見込めないのも事実です。

本当に画期的な技術革新でもされて根本的対策が行われない限りは、現在もっとも有効な手段と言えるのです。

も~、人類は元来自然を征服するのが好きなんだから、この際とことんやっちまえー!

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 気温3度上昇で数億人が泣く?

    Excerpt: 4月7日の電子新聞(旬の情報ナビゲータ)です!!気温3度上昇で数億人が泣く?ブリュッセルで開催されていた国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は6日、地球温暖化が人類や生態系.. Weblog: 今、話題・流行・旬のキーワード発信ブログ racked: 2007-04-07 06:57
  • ハイブリッドは地球温暖化に効果有り?

    Excerpt: 地球に優しいような振りをしている、ハイブリッドカー・プリウス オーナーの総代です。これまでも書いてきたように、私がハイブリッドカーを買ったのは地球のためではなくて、自分の財布のためなのですが<オイそれ.. Weblog: トヨタハイブリッドカープリウス オーナーの部屋 racked: 2007-04-12 23:04